井筒 久雄
1、はじめに
私は約4ヶ月間韓国のペジェ大学へ留学してきた。韓国と日本は領土問題があったり、他にも多くの問題を抱えたりしているため、韓国に対して良いイメージをもたない日本人もたくさんいるかもしれない。私はK-POPのアイドルを好きになったことをきっかけに、韓国という国にも興味を持つようになった。このアイドルの人たちはどのような国で生活してきたのか、そして韓国は日本の隣の国ということもあり、韓国のことをたくさん知りたいと思うようになった。テレビやインターネットだけで韓国を見ているうちに韓国に対して勝手なイメージを抱かされているのではないかと思った。実際に知るには現地で体感するのがいちばんいいと思った。
2、初めての留学
出発の日が近づいてくると、韓国へはやく行きたいと思っていた気持ちは全くなくなり、行きたくないと思うようになっていた。今までの大学生活でも、他の友達と積極的に交流したり活発に動き回っていたりしたことはほとんどなく、むしろそのような行動を苦手にしていた自分が初めての韓国で4か月間も生活できるのか、友達はできるのか不安しかなかった。ニュージーランドなど他の大学へ留学する人に比べれば、韓国は近いし似ている環境も多いはずだから、なんとかなると何度も自分に言い聞かせていたことを覚えている。不安だらけのまま私の留学は始まった。
3、初めての韓国
韓国の仁川空港へ到着した。留学前に何人かの人から韓国は空港に着いた瞬間からキムチのにおいがすると聞いていたが、全くしなかった。空港だけを見ていると日本とあまり変わりないなという感じがした。空港へは、私たちよりはやく留学していた日本人の先輩の人が迎えにきてくれて、一緒にバスで私たちが留学するペジェ大学へ向かった。
バスに乗っている間外の景色をずっと眺めていた。テレビやドラマでソウルの街やK-POPばかり見ていたために、韓国はとても明るくにぎやかな国だという印象をもっていた。しかし車などの乗り物が右側を走っていること以外はあまり日本と変わりなく、街から外れるといっきに人気がなくなり、時間が止まっているように感じるところもあった。建物や標識に書いてあるハングル文字がなかったら韓国だということも分からないなと考えていた。しかしバスが高速道路の途中、休憩のためにとまった所ではじめて韓国に来たということを実感した。そこにはたくさんの軍服を着た兵隊がいた。体がしっかりしている兵士を見て、同じアジア人だけど日本人にはないなにか独特な雰囲気を感じた。
4、韓国での生活
私たちの留学したペジェ大学は韓国の大田(テジョン)という街にあり、大田は自分の印象としては意外と都会だなと感じた。初めて寮へ入ったとき、私は韓国語が全くと言っていいほどできなくて入寮の手続きなど心配だったが、一緒に留学した先輩や、少し日本語ができる寮の人に助けられスムーズに入寮することができた。部屋に行くと台湾と韓国の人がいて皆私を快く迎え入れてくれた。そして初めての学校、クラス分けテストもその説明もすべて韓国語で全く分からなかった。
しかし授業にはいってみると初めは少し難しかったけど、日に日に授業は難しくなくなり、楽しいと思うようになった。私たちのクラスはほとんどが中国人で、あとは日本人と台湾人だった。みんな発言も積極的で初めは雰囲気にのみこまれていたけれど、少しずつ自分も韓国語で話ができるようになり質問も積極的にできるようになった。
そして次に韓国の人たちとの交流についてであるが、ペジェ大学には日本学科があり、そこではたくさんの日本へ関心をもつ韓国人の人たちが学習していた。私たち日本人は最初から最後まで日本学科の人たちにお世話になることになった。初めは友達ができるか不安だったけれど、向こうで知り合った日本人をはじめ、日本学科の韓国人、同じクラスの人、ルームメイトとたくさん友達になることができた。しかしこのように友達がたくさんできたのは自分の力ではなく、現地の人や友達が人見知りをしている自分をいろいろなところへ連れ出してくれたおかげかもしれない。
5、留学を終えて
留学して性格も変わったと思うし、自分の視野も大きく広がった。そして関わった人皆に本当に感謝している。留学してよかったし、感謝の気持ちを常に持てていると思う。
そして私は留学したい理由の一つに韓国の人達が私たち日本人をどう見るのか知りたいという理由があった。避けられたりするのかなとも思った。しかしルームメイトや外食に行った時などの店員さん、学校でお世話になった先生や学生の人達、道を教えてくれた全然知らない町の人などすべての人が私を日本人と分かっても明るく親切にしてくれた。中でも日本学科の人達は最後の空港まで見送りに来てくれる人もいた。もし自分が逆の立場で韓国人の留学生が日本へ来ていることを知っていてここまでしているかと考えると絶対にしていなかったと思う。
日本と韓国はテレビやインターネットだけを見ているとやはり今でも両国が近づくにはまだまだ難しいように感じる。しかし実際に韓国へ行って自分の目で見た韓国はとても暖かいところだった。
(国際学部学生 2012年)
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