北原 康太郎
私は、このハワイ留学を経験する前まで海外に住んだ経験がなく、ずっと小中高を日本で過ごしてきた。英語は大学生になってから本格的に勉強したので、もちろん英語は満足に話せなかった。しかし、そんな英語のできない私でも筆記試験や面接をくぐり抜け去年の8月から12月までの4か月間ハワイのマウイカレッジ内にある語学学校に留学することができた。この留学経験は私にとってとても貴重なものとなった。
私が通っていた語学学校は初級、中級、上級の3クラスに分かれていた。私は、初級クラスに分けられた。初級クラスでは英語の基礎から学ぶクラスで同じ学校から来た日本人の学生で溢れていた。たしかに私は英語を話せなかったが留学に行く前までの一年間、必死に図書館に通い詰めて英語の勉強をしていた。にもかかわらず、私は初級クラスに振り分けられたのだ。かなりのショックだった。それから、上のクラスへ上がることを目標にして勉強に励んだ。
そんな中、語学学校の学長にバーベキューにこないかという誘いを受けたので喜んで参加した。そこで私は学長に、「今のクラスは私には簡単すぎる。上のクラスに上げてくれないか」と直訴したところ「見学をしてみてから決めなさい。」と上のクラスへ上がるチャンスを頂いた。
この時は、とても嬉しかった。早くも上のクラスに上がるという目標を達成したのだ。やはり、目標を持ちながら頑張っていれば思わぬチャンスがどこからかやってくるのだなと思った。希望を持って努力することの大切さをこの時に改めて感じた。
上級クラスに入る前日から私はワクワク感と緊張であまり眠ることができなかったことを覚えている。そして当日の朝、私はどうしてよいのかわからなかったのでいつものように初級クラスの席で座っていると学長が来て「コタロ、見学にいこう」と声をかけてくれたので私は上級クラスへ向かって学長と歩き始めた。この時、私は緊張で心臓が爆発しそうだった。そんな中、私は学長と上級クラスの扉を開いた。そこには、色々な顔立ちの学生が座っていた。緊張で声を震わせながらも自己紹介をして席についた。
そしていざ授業が始まってみると唖然とした。先生がなにを言っているのか全く分からないのだ。話すスピードが速すぎる。さらに上級クラスではグループワークが多く生徒同士で話し合いながら授業を進めていくものが多かった。上級クラスは英語を話せない私にとって苦痛でしかなかった。それでも必死に授業についていこうと宿題はもちろんの事、授業の予習復習も欠かさずに取り組んだ。
上級クラスの授業を受けて1週間がたったころ私は完全に弱気になっていた。私から学長にクラスを上げてくれないかと懇願したにも関わらず私は学長に「このクラスは私には早すぎる。また初級クラスに戻って頑張ります。」と自分の情けなさを感じながらも伝えた。
すると学長からは思わぬ返答が返ってきた。「何を言っているのだ!君のプレゼンテーションは素晴らしかった!今のクラスで続けるべきだ。」と予想外の答えが返ってきた。たしかに授業の予習復習を欠かさなければ授業についていけるなと思っていた。だが日々の授業の緊張と宿題のストレスから私は完全に弱気になっていた。そんな中での学長の励ましの言葉で私は留学前の自分を思い出した。留学先では失敗を恐れずに積極的になんでも取り組み前向きに進んでいこうと決めていた。私はまた気合いを入れ直し上級クラスで学び続けることを決めた。
振り返ってみると、私の留学はここから始まったと思う。周りから見れば、クラスを一つあげただけと思うかもしれない。しかしこのチャレンジの中には、私の目標が詰まっていた。積極的に行動すること。前向きに考えること。不安な気持ちを楽しめるようになること。自分に自信を持つこと。様々な能力を留学で身につけたかった。
この出来事以降、私は積極的に授業へ参加していこうと思い、つたない英語でも恐れずに発言することを心掛けた。さらに授業の間の休み時間にクラスメイトに積極的に話しかけにいき相手の国の文化などを聞くことができた。授業後は、一人でインターナショナルクラブに参加して英語に触れる機会を増やしていた。そこでも、積極的に話しかけていくことでたくさんの友達を作ることができた。そこから友達の友達を紹介してもらい友達の輪が広がっていった。遊びに誘われることも多くなり、遊びも学びの一つと考え積極的に外へ出かけていた。
留学中は、とにかく行動していた。そしてそこからたくさんの事を学んだ。自分が育ってきた日本の常識がすべてではない。世界には色々な人がいて様々な文化や価値観がある。そこで、頑固に相手を否定するのではなく様々な考え方を受け入れて相手を理解することが大切だ。グローバル化が進む現在、優れた国際感覚を磨いていく事が大切だと考えている。この留学を通して、私の中にある国際感覚を養うことができた。さらに目的を持つことの大切さ。前向きに考えることの大切さ。積極的に挑戦することの大切さを今回の留学で学ぶことができた。そんな経験をさせてくれた両親や学校の先生方、現地で出会った人たちには本当に感謝している。
これからは、さらに自分自身の可能性を伸ばすために今年の8月からオランダへ交換留学生として行くつもりだ。そこでは、今回の留学で得た経験を活かしさらに伸ばしていくつもりだ。
(国際学部学生)
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