1月30日から2月7日まで、大阪学院大学高校から外国語学部・国際学部に進学を予定している8名に対して、集中講義が実施されました。外国語学部から神谷先生・藤井先生、国際学部から山口修先生・中田先生・近松先生・松村先生・松本先生・三輪先生・瀬川先生・山口悟先生・広野が講師にたちました。
講義のタイトルは「西洋文学1」ですが、外国部学部・国際学部の教員がオムニバス形式で講義をすることで、大学の授業や雰囲気に慣れてもらうと同時に、外国語学部・国際学部の先生に直接触れ、その専門の一端を知ってもらうことを目的としています。
毎日1講時2講時と早い時間に講義が行われましたが、ほぼ無遅刻であったことは、受講生の意識の高さを物語っています。もっとも大学の講義時間90分に慣れることは大変だったようです。しかし、最後の日に行われた昼食会のときに、この一週間の連続講義を「面白かった」と積極的に受け止めてくれた高校生諸君を、来春から大学生として受け入れることは、私たちとしても喜ばしい限りです。 (広野)
本年度末で退職される阪田安雄教授の退職記念講義が、去る1月29日(月)午前9時から15号館 B1-01 会議室で行われました。
阪田教授は、「アメリカの社会と文化」「移民史」などの講義を、平成2年以来、長年にわたり行われました。厳しくも暖かみのあるご指導は、学生から高い評価を得てきました。ご研究では、日本人のアメリカ移住を日米関係史の視点から総括的に検討されてきました。ご著書には『明治日米貿易事始-直輸の志士新井領一郎とその時代-』(平成8年、東京堂出版)『在米日本人社会の黎明期-「福音会資料」を手がかりに-』(平成9年、現代資料出版)など多数あります。
講義のタイトルは「私のアメリカと日本における四十年にわたる日本移民の研究」でした。阪田教授がUCLAでの大学院生時代に出会い、生涯のテーマとなった日系人移民調査プロジェクト(The Japanese American Research Project)のお話から始まりました。このプロジェクトは、アメリカ全土に散在する一世の1036人を対象とする聞き取り調査です。このプロジェクトでは、史料を自由に読めるのは阪田教授だけであり、それこそ八面六臂の活躍であり、大学で得られる以上のことを得られ、アーキビストとしても鍛えられたと述懐されました。
さらに日本人移民というテーマが持つ難しさも語られました。阪田教授が1960年代後半、日本の国会図書館で研究をしていると、日本人研究者から「アメリカに留学しながら、なぜ移民のようなことを研究するのか」といぶかられたという体験を話され、「(在米日系移民)一世は日本を捨てた人、追い出された人」であるという見方が強いという日本側の意識の問題を指摘されました。
かたやアメリカでは移民史は確立した研究分野として認知されていますが、移民史研究は欧州中心的であること。そして欧州中心的な移民史研究の分析枠組みは、日本移民には適用できにくいことを語られました。たとえば移民という言葉は、ウェブスターの辞書などでは、永住を目的とするということが定義されていますが、これは日本移民には当てはまらない。たとえばハワイ官約移民では、「出稼ぎ」や「故郷に錦を飾る」という意識が強く、永住という意識が少ないということを指摘されました。
講義の最後には、幕末から太平洋戦争へといたる日米関係史の壮大なドラマを、移民という視点から描く、現在執筆準備中のご著書の構想について語られました。阪田教授にお目にかかる機会が少なくなるのは悲しいことですが、しかし世に問われる教授の新しいご著書を読む楽しみができたことを嬉しく思いました。(広野)
大阪学院大学国際学部は、少人数教育を特色としています。国際学部生は1年から4年まで、毎学年必ず一つのゼミナールに所属しなければなりません。ゼミナールでは、講義とは異なり、出された課題を自分で調べて、まとめて、その成果を発表することが求められます。
例えば、1月18日(木曜日)5時限目に、この時間帯に行われているゼミナール1(1回生配当)の合同発表会が 、12-04-02 教室で行われました。宮本圭造先生、山口修先生、井上専先生、中田辰也先生が担当されているゼミです。
この日は宮本ゼミと山口ゼミの発表でした。宮本ゼミは「ラテンアメリカ」を共通のテーマとしていました。山口ゼミからは「黒人選手はなぜ強いのか(陸上長距離競技)」「なぜ日本はワールドカップで勝てなかったのか(サッカー)」「なぜ日本は勝てないのか(柔道)」というスポーツ関係の発表が行われました(井上ゼミと中田ゼミは、次週に発表が予定されています)。
一回生の発表ということもあり、発表スキルや情報機器の扱いには、ややばらつきがありました。しかし発表を聞きながら、私たちが大学一回生の時には、こうした口頭発表を訓練する機会も、発表する場も、ゼミナールクラスもなかったことにふと気づきました。そうしたことを考えるとき、こうした発表をまずは一通りこなしている学生さんの姿を見て頼もしく思いました。
去る12月26日。吹田市立教育センター・大阪学院大学連携講座「国際理解教育 ちきゅうじん・多文化理解を進めるために」が、大阪学院大学で開催されました。小中学校の先生方をお招きして、国際理解教育をともに学びあうことを目的とした研修会です。国際学部プロジェクトKも、この催しに積極的に関わりました。
午前中には、長岡みゆき先生(国際学部)の「日本ハムファイターズはなぜ日本一になったか?異文化間コミュニケーションABC」という講演が行われました。日ハムのヒルマン監督が、大リーグで学んだ野球の手法を捨てて、日本流のやり方を受け入れ採用したことが、日ハムの優勝につながったという分析に、長岡先生が感銘を受けたことが、この講演のモチーフです。長岡先生は、ヒルマン監督の姿勢変化の中に、異文化間コミュニケーションの核心を見たのです。つまり、謙虚な姿勢で異質なものを知るということです。
午後には二つのワークショップが行われました。第一は、三輪信哉先生(国際学部)が報告者となった「具体的に学ぶ国際理解教育 大学講義での実践例:エイズ問題を考える」です。三輪先生は、大学で行っている講義の実演を行いました。
まずエイズに対する知識をチェックする20問のYES/NOクイズが行われました。その後、南アフリカでエイズが蔓延していることに対する感想が求められ、続いて自分にとって大切な人がエイズにかかったことが分かったとき、さらに自分がエイズにかかったらどう感じるか?という質問が出されました。三輪先生の意図は、エイズの問題を、他人事ではなく、自分にも関わる問題として考えて欲しいということでした。
二つの目のワークショップは、「吹田で国際理解教育を進めるために」というテーマで、参加者が7つの班に分かれて議論して、その結果を発表しました。「小中学生も海外体験をさせる」「留学生を大量に吹田に呼ぶ」「各学校の実践交流を行う」「英語学習だけでなく、異文化理解にも重点を置く」など積極的な意見が続出して、熱気あふれる報告が続き、予定時間を半時間超過したほどです。
ほぼ一日がかりの講座でしたが、参加してくださった先生の熱気のために、時間が短く感じられました。私たちにとっても普段お話しできない小中学校の先生と意見交換ができて、大変刺激的でした。国際理解教育を進めるために、この講座をますます充実させる必要があると思いました(広野)。
2006年12月8日に、大阪学院大学吹奏楽部第34回定期演奏会が、尼崎総合文化センターアルカイックホールで19時から開催されました。
国際学部生も吹奏楽部にたくさん所属しています。たとえば、客席からよく見えたのは、クラリネットを担当してステージ最前列にいた、杉本一くん(右から一人目)、田中ひとみさん(右から二人目)、川野上健一郎(右から三人目)くんです。
定期演奏会は、2部構成です。第1部マーチング・ステージでは、新しい試みとして、大阪学院大学高等学校のチアリーダー部とのコラボレーションが行われていました。きらびやかなステージが、今年は一層華やぎました。なお、チアリーダー部は今年できたばかりだそうです。
第2部は、ミックス・ステージでは、OBとOGの応援で相当大きな編成となりました。最後に、大序曲「1812年」(チャイコフスキー)が演奏されました。迫力満点の演奏で、聴衆を魅了しました。この後拍手が鳴りやまず、さらにアンコールが2曲演奏されました。毎年趣向を凝らしたプログラムをくまれる吹奏楽部の皆様の努力に頭が下がる思いがしました(広野)。
12月9日(土曜日)2号館1階ラウンジで、国際センター主催の「留学帰国報告会」が開催されました。国際学部からは、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校に留学した白川沙絵さん、さらに清華大学などに留学した上住谷崇さんのプレゼンテーションが行われました。
白川さんからは、留学は一つの手段であり、それ自体が目的ではないということ。さらに アメリカという、日本とは違って以心伝心で物事が運ばれない社会では、自己主張をしな ければならないこと。つまり他力本願ではダメということが説明されました。
さらに白川さんは、この留学により得た成果として、第一に「自分がしっかりとすること ができた」という自信、第二にTOEFLのスコアアップを挙げました。ちなみに白川さんは、 このTOEFLのスコアのおかげで、他大学大学院の筆記試験が免除され、見事合格し、来春か らは大学院生だそうです。
上住谷さんからは、常に目的を持って行動しよう、いろんなところに出かけようという提 案がありました。上住谷さんにとっては、留学で得られたものは、中国語の力だけでなく、 留学先で培った友人関係だということでした。
さらに上住谷さんから、留学体験を就職で活かすやり方が説明されました。何を目的として留学したのか、その目的のためにいかに努力したのか、その結果はどうであったのか、 それから自分は何を得たのかということをはっきりと面接官に伝える必要があるということです。ちなみに上住谷さんは、来春からプログラマとして就職が内定しています。
最後に国際センターのマイク松野先生から、「留学する積もりなら、すぐに留学しよう」 「留学することは、語学や異文化を知ることだけでなく、さらに自分自身を知る得難い経験である」という熱いメッセージでこの日の報告会は締めくくられました(広野)。
ちなみにお二人ともちきゅうじんブログに執筆いただいております。
白川沙絵「英語プラスアルファを学ぶ」
上住谷崇「国際人って何?」
大阪学院大学国際学部では11月28日(火)から12月2日(土)まで、2号館1階で第2回ヘルプデスクを行っています。ヘルプデスクとは、国際学部学生を対象にした、勉学・学生生活・進路などの質問を受け付ける総合案内書です。
校舎の一角にいわば出店を出すわけですので、研究室に先生を訪ねて質問したり、相談したりするのはちょっと気が引けるという方でも、講義の空き時間や休憩時間に気軽にいろんなことが聞けるわけです(ちなみに、私は、ある学生さんとついつい話し込んでしまい、その学生さんが次の講義に行くことを、結果として妨害してしましました。反省です(__;))。
今回も経済学部さんの企画に相乗りさせていただきました。正直なところ国際学部としては準備不足のまま実施しました。ビラも手書きで急ごしらえの感が否めません。でもその中に国際学教員が実践している手作り教育への意気込みをくみ取っていただけば幸いです。
訪れる学生さんも数はそれほど多くはありませんが、和やかな談笑のスペースになっています。とりわけ他学部の学生さんで国際学部に関心を持っている方も来てくれ、国際学部についてあれこれ尋ねてくれたのは感激ものでした。
また今回はゼミナール1や英語などの1回生必修科目を履修していながら、欠席が続いている学生さんに個別に通知をして、ヘルプデスクに出てきて課題をこなしてもらうという取り組みをしています。私たちは、このような学生さんが大学に再び出てくる切っ掛けとしても、ヘルプデスクを役立てたいと考えています。
まだ期間が残っていますので、是非この文章を見かけた学生さんは2号館1階までお越し下さい。いろいろ先生に尋ねてみましょう(広野)。
2006年7月に、国際学部カリキュラムアンケートが実施されました。国際学部のカリキュラムについて、学生たちから直接意見を聞き、その結果を踏まえてカリキュラムをよりよいものにするために実施したものです。幸いなことに多くの学生がアンケートをまじめに受け止めてくれました。そのため、65%という比較的高い回収率を得ることができました。
アンケートを通して、以下の点が明らかになりました。全般的に、よい点として二つあげることができます。
(1)全般的に、教員への満足度が高いということです。
とても満足(12%)、まあまあ満足(51%)という高い数字が出ています。「親身になってくれる」、「熱心」、「丁寧に教えてくれる」という理由が挙げられています。個人的に話したり相談した際に、教員が親身になって応じている点が評価されているようです。
(2)ゼミの満足度が高いことです。
とても満足(30%)、まあまあ満足(49%)という数字により裏付けられます。その理由として「少人数のアットホームな雰囲気」、「先生や友人と親しくなれる」、「自分に関心のあることを自分で調べられる」、「いろいろな人の発表を聞ける」ということが挙げられています。
国際学部の良い点はそれなりに評価されているのですが、不満も少なくありません。
国際学部のよい点は、たくさんある(11%)、まあまあある(57%)と、相当の評価を得ています。具体的には、「外国だけでなく日本についても知識が得られた」、「グローバルな視野がついた」、「比較対照する視点を学べた」ことなどです。多面的に物事を見るという国際学部の特性が評価されています。
国際学部への不満に関しては、たくさんある(5%)、まあまあある(26%)と無視できない数字です。具体的には「学部の目的がわからない」、「就職に結びつく知識が得られない」、「特別な専門知識が得られない」などです。学際的で多様な国際学部のカリキュラムに学生が消化不良を起こしている現状、さらに国際学部の科目が実務的な内容と結びつきにくいという点で、評価を落としているようです。
具体的に授業を改善するべき点として次の点を指摘することができます。
(1)教室の授業環境を確保する必要があるということ(特に大教室)
学習環境に対する不満について、よくある(13%)、時々ある(42%)という無視できない数字が出ています。「授業がうるさい(特に大教室での授業)」、「黒板が見えない」、「私語・携帯」というのが具体的事例です。大教室の学習環境の悪さに対する不満が見られます。大人数の授業を減らすとともに、大人数の授業で静かにさせる努力、さらに見やすい板書のシステムが必要とされます。
(2)学生の理解度を高める工夫が必要であること。
難しすぎる授業があるかという質問に対して、よくある(13%)、時々ある(48%)という数字が出ています。その理由として、「先生の説明がわかりにくい」、「先生が一方的にしゃべっているだけだから」、「基礎知識の欠如」などが挙げられています。「学生の予備知識の確認」、「理解度を学生に直接確認する」ことが必要と思われます。
教え方を変えてほしいと思うことがあるかという質問に、よくある (5%)、時々ある(38%)という回答が出ています。改善点として「重要事項を板書してほしい」、「重要項目をはっきり示してほしい」、「視聴覚教材を使ってほしい」が挙げられています。「大きくきれいな字で、要点を板書」すること「大きく明瞭な声で、詳細に説明」することが求められています。
さらに自由記述に、コミュニケーションが十分に取れているという意見がある一方で、「もっとコミュニケーションをとってください」、「もっと生徒を理解してほしい」という切実な声が散見されました。我々は学生の声に謙虚に耳を傾ける必要がありそうです。
上記の結果については、教授会で全教員に対して報告がなされました。このようなことは2006年度後期からすぐにでも実行可能なものです。教員一人一人が自覚を持ち、これまで以上によりよい授業をする必要があるということが確認されました(広野)。
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