小谷 博光
私は大学で多くのことを学び経験しましたが、次のようなことを心がけて学生生活を送りました。
その一つは、疑問があれば聞きに行くこと。一時間半の講義を聞いていれば、必ず疑問や質問、反論、同感などさまざまな思いが湧き出てきますので、そのことについて先生方と話をさせてもらいに行くのです。講義中に質問などができれば、多くの人の意見も聞けるし、濃密な講義内容になって良いのですが、受講者の多い教室では、なかなか手を挙げて質問する勇気は出にくいものです。そこで、講義直後の教壇上で約束を取ってから先生方の研究室を訪問しました。
自分の意見を持って話をさせてもらいに行くと、先生方は嫌な顔を決してせず迎えてくれました。先生方は、それぞれの専門の分野の研究者で経験も豊富ですし、人生の先輩でもありますから、就きたい職業を得るまでのキャリア構成や現在直面している問題についての相談などにも乗っていただけました。私は何度も先生方の研究室を訪れ、キャリア構成から時事問題などを幅広く、お話を聞かせてもらいましたが、大学には学びに来ているのだから、言い方は悪いですが、先生方を大いに利用して充実した学生生活を送ろうとしたわけです。
二つめは、積極的に海外に出て異文化や異民族などを感じてみること。グローバル化が進んでいるとはいえ、世界は習慣や言語、食文化、思考などまだまだ異なることばかりです。せっかく国際学部に入学したらのだから、文献やメディアだけで情報を得るのではなく、長い休みを利用してまずは海外で日本との違いを体感することが、その後の考え方や行動に幅広さや柔軟性などをもたらしてくれるはずだと考えたのです。
私は、三回生の時にオーストラリアで一ヶ月間の植林ボランティアをし、四回生の時はインドのNGO(非政府組織)の社会開発活動の手法を学ぶ研修旅行に参加しました。肌の色や言語、習慣、考え方などさまざまな異なる人々と、話をしたり共同生活や共に働いたりしました。その中で、当たり前のことなのですが、日本人とは異なる人々がいて、そこで異なる社会を形成し生活していることなどを肌で感じることができました。長年ほぼ単一民族で国家を形成してきた島国日本では、異なるものを容易に受け入れる気質は他国に比べて薄いと思います。それが悪いことだとは言いませんが、縁があって国際学部に入学したのですから、異なるものを積極的に体感して、視野を広げて物事を見る訓練をしたいと思ったのです。
最後に、夢や希望をあきらめずに挑戦してみることが大切だと自分に言い聞かせてきました。難しいことでも大抵のことは、あきらめずに挑戦し続ければ、成功すると私は思います。幸いにも私は、在学中に巡り会ったすばらしい先生方や知人らとの交流のなかで、国際協力に関する仕事に就きたいという目標が定まりました。そこで、早くから目標に対してスタートを切ることができ、必要な経験や資格やキャリア構成などについての相談ができたり、たくさんの助言を頂けたことは幸いでした。
私は卒業後に社会人を経験しましたが、それも夢や目標を実現させるための一過程で、その後はミャンマーという東南アジアの国で、現地の高校生に日本語と英語を教えながら、有機農業の研究を受けるという体験を八ヶ月間行いました。そして現在は、熊本県で有機農業の研修をしています。将来は農業という専門を持って、国際協力の仕事に就きたいと考えているからです。早い時期に目標を定め、それに向かってあきらめずに努力し挑戦し続けることは、一歩ずつ夢を実現させてくれると、私は信じて行動しています。
以上の三点を、私の在学中の経験として、紹介させていただきました。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
(農業研修生 2004年卒業)
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