末武 侑希子
2012年6月17日(日)に、「UNISC全国学生フォーラム2012」(主催:日本学生会議所、後援:文部科学省)が国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都新宿区)で開催され、全国からおよそ120人の学生が集まった。
この全国学生フォーラムは、学生自身が議論し、今後の教育の在り方を考える場である。「国際的に活躍する人材を育てるには」「未来への飛躍を実現するためのギャップタームとは」「未来への飛躍を実現する人材を育てる大学教育とは」という3つのテーマごとに分科会に分かれ、必要な力やその解決策を熱く議論した。
今回、私がこのフォーラムに参加した理由は、日ごろから、大学内外の学生の大学教育に対する意識に疑問を持っていたため、100人以上の学生が参加するこのフォーラムで、さまざまな学生の意見を聞きたいと考えたことにある。
私は、「国際的に活躍する人材を育てるには」という分科会に参加し、グループごとに国際的に活躍する人材に必要な能力や、それを培うためにはどのような経験が必要であるのかなどを議論した。そしてそれをもとに各グループで発表しあい、意見交換をした。盛んに議論されていたテーマは、学生のモチベーションと留学である。ますます加速する世界のグローバル化に、どの学生も留学が大きなポイントであると考えているようであった。
私たちのグループでは、国際的に活躍する人材に必要な能力について考察を深め、以下のような点に集約された
- 常に好奇心を持って自ら挑戦していく心構えや、失敗を恐れず、失敗してもあきらめず果敢に物事に取り組む姿勢
- 英語に限らず、さまざまな言語能力の必要性や人と良い関係を築くことができるコミュニケーション能力
- 異文化・宗教に関する知識
- 何か問題が発生したときに迅速に解決する、もしくは道筋を立てる能力
議論を進める中で、これらは、海外で仕事をするしないにかかわらず社会人として必要な能力があることにも気づいた。そしてともあれ、これらの能力を鍛えるために「留学」することが有効な手段であるという結論に至った。
なぜならば、留学では、異文化を体験することで柔軟な考え方を身につけたり、さまざまな考えや宗教観を持った人々と関ることで、コミュニケーション能力を培うこともできる。また留学では、自分から意見を言わなければ、誰も国内のように気にかけてくれる人はいないので、自然と積極的に意見を言う機会が増えるという利点もある。
しかし、家庭の経済状況や、大学の授業や部活動を理由に留学を断念してしまうケースも多い。そこで、文部科学省、もしくは大学関係諸機関が、学生が留学に行きやすい制度を作る必要性があるのではないかと考えた。例えば、企業に寄付を求めて奨学金制度の設立や、大学の単位制度の変更などである。一方で、留学に行くことだけが目的化している節もあり、留学後とインターンをセットにして、留学中や留学後の学生のモチベーションを高める仕組みも必要だという意見もあった。
また、フォーラムの中で、大学教育についての意見を発表する時間があり、現代の学生の大学に対する認識に驚かされた。少数ではあるにしろ、遊びながら大学に行ってもよいと考える学生がいることに愕然とした。その学生がどういった意味合いで遊びをとらえているのかはわからなかったが、私自身の意見として、大学はあくまでも学ぶ場であって、出席する場ではないと考える。「親に行けと言われたから」「みんなが行くから」というように、現代の学生の意識の中に、大学に行くという行為、もしくは学生であるということだけが目的化しているのではないかと感じた。
(国際学部学生 2009年入学)
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