阪本 久美子
現地へ行って、その土地の文化を生で体験することは、非常に大切だと思う。いつもとは違った非日常的な空間に身を置くことは、気持ちが新鮮になるだけでなく、本や写真・映像などだけではわからないことを実感できる。
私は、このスタディツアーに行く前から「食文化」について担当することが決まっていた。ゼミでも「マレーシアの食文化」について発表し、いろいろな料理の写真やレシピを見たりしていた。しかし、それらの写真だけでは、絶対にわからないものがあった。「匂い」と「味」である。
マレーシアでもタイでも、食べ物を実際に口にしてみてまず初めにビックリしたのは、その「匂い」だった。例えば米ひとつをとっても、マレーシア米やタイ米も独特の香りを持っており、日本米との違いは味や食感だけではなかった。
また行く前から、マレー料理にはたくさんの香辛料が使われていることを知っていたが、「香辛料」と聞いて私がイメージしていたのは、カレーのような胃が熱くなるような辛さだった。しかし、実際に食べてみると、マレー料理の辛さは舌の上でピリリッとはじけるような感覚で、私がそれまで食べたことのあるどの辛みとも違っていたのである。
英語や、この旅行のために覚えたわずかな現地の言葉を介して、地元に住む人々と交流できたことも、とても喜ばしい貴重な体験だった。実際に言葉が通じたことや、お店で役に立ったことも、もちろん嬉しかった。しかし、それ以上に、意思を伝えたことによって相手との距離が少し近くなったような気がしたことには、不思議な喜びを覚えた。
現地に赴くことの良さは他にもある。タイの王宮やアユタヤ遺跡の雄大さは、じかに見られて良かった。王とともに歩んできたこの国の歴史を少しでも肌で感じることができたのは、とても意味のあることのように思えた。また、マレーシアのスーパーマーケットなどでは、間違った日本語の商品をいくつか見ることができ、小さな土産話を得ることができた(たとえば「マンゴープリン」が「マンゴープリソ」と誤記されていた)。
私たちのスタディツアーは、毎日新鮮な発見と驚きに溢れていた。1日1日がとても長く感じた。それに道中たくさん歩いたことから、良い運動にもなった(痩せた!)。大したアクシデントもなく充実した日々を送れたことは、非常に幸いであった。
(国際学部学生 2004年入学)
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