早尻 真人
「国際学って一体どんな学問」と思われる方はたくさんおられると思います。世間一般にその存在が知られている経済学・法学・工学などと違い、明確に何を学ぶか理解されにくい学問であるかもしれません。
国際学とは単純に言うと、外国との交際そのものなのです。国際学部で学ぶことは、外国との交わりのすべてを学ぶということで、そこには、経済・政治・文化・環境・科学・スポーツなど幅広い分野の学問が存在しており、それらを地域規模あるいは地球規模で学ぶのです。
私が国際学部を選択した理由は、経済・政治・文化など様々な分野で視野を広めたいと思っていましたが、高校時代の私にはどの分野の学問を専門的に学びたいのかを決めることができなかったことが関係しています。
私にとって国際学部は有り難い学部で、どの分野が一番自分にとって興味がもてるか選択する時間がありました。そして私が専攻したのは国際政治で、とりわけ卒論になった戦後日米関係でした。そして卒論準備中に出会った一冊の本、高坂正尭『古典外交の成熟と崩壊』の中の「多様性への愛」という部分に感銘を受けました。
世界には様々な人種・宗教・文化・言語が存在し、それぞれに考え方が生まれます。それに伴い、そこには我々日本人が常識だと考えていることが通用しない「違い」が数多く存在し、日本人から見た「違い」は○○人から見れば日本人が違うということなのです。
「多様性への愛」とは、数知れない「違い」というものをお互いが理解し合うということなのです。そのことを理解して外国との関わり合いを学び、考えるのが国際学の面白さではないかと思います。
最後になりますが、国際学部を卒業して良かったことは、「多様性への愛」という考えに出会えたこと、そして今でも再会できる仲間達に出会えたこと、そしてこのエッセイを書くように推薦していただいた先生に出会えたことです。
現在、国際学部を志望している方、在籍している皆さん、4年間という自由だけが与えられているのではありません。自分にとっていろんなことを発見する可能性を探し出す貴重な時間でもあるのです。出会いというのは、本当に偶然の産物です。皆さんも1つでも多くの出会いを見つけてください。可能性はいくらでもあります。自ら行動してください。
(日本郵政公社職員 1995年卒業 )
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