岡 亜沙美
「留学したいなぁ」
私が大学受験をする時にまず考えたのは、大学に入って何がしたいかということだった。例えば、将来医者になりたい人は医学部を受験するだろうし、弁護士になりたい人は法学部を目指すだろう。しかし私は将来何になりたいのか、どうしていたいかということまでは考えられなかった。ただ漠然と留学したい、これだけだった。また、子どもの頃から外国や未知な世界に興味があった。それで、おのずと異文化について学べる国際学部を選んだ。
大学在学中には、中国への語学留学やゼミの仲間や先生とのタイ・マレーシア旅行など自分自身でしたいと思うことはやってきた。大学入学と同時に一人暮らしをしていたことも含め、これらの経験をすることによって、知らず知らずの間に視野が広がったのは確かである。特に卒業研究とした『タイ人の暮らし-食文化からみた屋台の存在―』に取り組むに際しては、現地タイへ赴き、実際に自分の目で確かめ、肌でその空気を感じることによって、やはり、テレビや本、話を聞くだけではできない論文が完成したと思う。
とりわけ言えることは、教室で講義を受けるだけでなく、先生や先輩たちとの食事会や旅行を通して、教科書を読むだけでは知ることの出来ない事柄を学び、糧となっている。余談になるが、私達が「大人の隠れ家」と呼んでゼミの先生や仲間と食事(飲みに!?)に行った場所は、卒業した今でも懐かしい。
今、私は某航空会社に勤めてグランドスタッフ(地上業務)をしている。幼い頃からこの仕事に憧れてはいたが、やはり私には憧れで終わるのだと思っていた。ところが、大学で様々な人と出会い、そんな人との出会いから夢で終わらせていいのかという思いがしだいに強くなってきた。それで、やはり航空系の就職を目指した。その結果、今こうして空港で働いている。やはり何事も挑戦することが大事だ。
初めに述べたように、私は、将来何がしたいかと考えた時、今現在の自分の能力で出来ることは何か、選べる職業は何かと考えていた、でも、そのように自分の能力の限界を大学入学前に決めつける必要はない。自分の頑張りしだい、努力しだいで可能性は大きく広がるということを身をもって感じた4年間だった。
私にはコレだという立派な資格はないが、それではない何かをこの大学生活で得たのだと自負している。中でも、自分の考えを言葉で相手に伝えることが苦手だった私だが、大学での多くの先生や友人との出会いがものすごく成長させてくれたと思う。
(航空会社勤務 2006年3月卒)
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