前田 達郎
私は2007年8月から2008年6月まで、スンチャンヒャン大学に留学した。出発前、希望と不安が駆けめぐっていたのを今でも覚えている。さらに、初めて韓国の地を踏んだとき、空港にハングル文字で書かれている看板を見て圧倒された。「こんな文字を本当にしゃべったり、読んだりすることができるのか」
そんな不安を抱えたまま留学生活が始まった。クラスは留学生のために特別に設けられていた。他の国から来た留学生も一緒に学んだ。初めの数か月は、ついて行くので精一杯だった。授業はすべて韓国語で行われ、授業の内容が全く分からないこともしばしばであった。宿題が出たときには、パニック状態であった。あのときは、勉強のつらさよりも、理解できない自分の無力さがつらかった。
そんなとき、私は、アメリカ人の友達からチューター制度を教えてもらった。チューター制度とは、現地の学生がボランティアで、留学生に韓国語を教えていて、互いにコミュニケーションをはかりながら、勉強するものだ。話に聞くと、チューター制度は、欧米の教育現場で導入されていて、非常に効果的だそうだ。私もすぐに活用した。
私のパートナーは、三回生の女の子で、同級生であった。彼女は、日本語を衝撃的なほど流暢に話すことができた。どうやって勉強したのかと尋ねると、日本のドラマや映画を使って自分なりに解釈して楽しく学ぶというものだった。彼女は何事も楽しくやるのがモットーである。
早速、私も彼女の薦めもあって、”韓国ドラマ法”を実践してみた。するとそれが私にもピッタリで、初めは何気なく観ていた映画も、知っている単語が出てきたりすると、嬉しくなって意欲的に勉強するようになった。しばらく続けていると、韓国語も自然に聞き取れるようになった。この勉強法で、韓国語の本来の魅力をも再確認することができた。
自分の好きなものに関連づけて勉強すれば、楽しめかつ効果的であった。そのことのために、勉強に対するイメージが変わった。勉強への意欲も高まった。しかし私は聞くだけではなく、書けなければならないと思い、聞いた単語をノートにとることにした。いわば“反復法”だ。さすがに根気と努力が必要だったが、中間テストでいい成績を残すことができた。本当に彼女には感謝している。
韓国では、勉学だけでなく、異文化の中で生活したことで、いろいろなことに刺激を受け、興味を持ち、私がそれまで抱いていた考えがひっくり返された。今まで、私が知らなかったことを、一気に知ることができた濃い一年だった。本当にこの経験は私の財産である。
(国際学部学生 2006年入学)
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