高居 由佳子
「国際学部って何を勉強するの?」在学中にこの質問を受けたことのある人は、決して少なくないと思います。お恥ずかしいことに、何気なく大阪学院の国際学部へ入学した私には、この質問にはっきりと答えることができませんでした。
学び始めて気づいたのは、国際学とは非常に幅広い分野をカバーした学問であるということです。歴史・文化・経済・法律・言語などを総合的に学ぶため、貪欲に学べば広い分野にわたった知識を吸収することができます。その反面、受身のままでいると、学ぶ範囲が多岐にわたっているために、一体何を学んでいるのか分からなくなってしまう学問でもあります。
私も初めのうちは、ちんぷんかんぷんのまま勉強を続けていたのですが、少しずつ新聞やニュースで報じられている国際情勢が理解できるようになってきた頃から、国際学って面白いと感じるようになったのを覚えています。
そして国際学とは、大学で学ぶべきことはもちろんですが、できれば在学中に海外生活を体験することも大切だと気づきました。旅行でも、短期の語学留学でも、何でもよいのです。そこで身をもって経験したことが、日本しか知らなかった自分のその後の人生に大きく影響を与えてくれると思うからです。
私は大学3年生のときに生まれて初めてヨーロッパを旅行し、様々な地域の人や文化と触れ合うことで、「このままの私ではだめだ。大好きな歴史学を本格的に勉強しよう」と思うに至りました。歴史を知らずして真の国際理解ができるわけがないなどと、エラソーに思ったわけではありません。しかしあのときに受けた衝撃は今でも忘れられません。ゼミでお世話になった先生にも助けていただき(あのときに先生に作っていただいた歴史問題集は、今でも私の宝物の1つです)、結局、卒業後3年間ほど社会人を経験した私は、イギリス北西部にあるランカスター大学で念願だったイングランド中世史の勉強を始めることができました。
海外生活の中で「コミュニケーションのために一生懸命努力する自分」を実感することができたのは、大きな経験です。留学中に同級生たちから「日本にはたくさんの自動販売機が屋外に置かれているが、危険ではないのか?」、はては「某社が作ったハイブリッドカーに乗ったことはあるか?」等、日本ではあまり受けないような質問を何度も受けました。それまでの私だと、あいまいな返事ですませてしまっていたような質問でも、海外では話が違います。友達を作るチャンスだと思い、誠心誠意考えて答えようと頑張りました。
私の英語が上手くないのを承知で話しかけてくれているのだから、こちらだって自分のこと、日本のことを知ってもらうために、必死で努力をするのです。また相手のことを知るために、自分の五感をフルに活用して相手の一挙手一投足に気を配るようになります。語学力などではなく、こういった姿勢が国際理解へとつながる第一歩だと気づくことができたのは、非常に素晴らしい経験でした。
現在私は、物流会社で貿易事務に携わっています。独学ですが、歴史の勉強も続けています。常に海外に関心を持ち繋がっていたいと思うようになったのは、大阪学院で学んだ4年間と1年半にわたる海外留学のおかげだと思います。大学生活は、興味あることに積極的に取り組んでいけば、人生の中で一番多くのことを学ぶことができる4年間になると思います。私の経験談が、実りある学生生活に少しでもお役に立てれば幸いです。
(貿易事務 1997年卒業)
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